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プロジェクト評価は適材適所の主なコンサルタント業務の一つです。メンバーがこれまでの評価分析の業務経験とともに、業務の中で出会った金言をご紹介します。
国際協力~よく耳にする言葉の一つですが、関わり方は、1)草の根レベルで活動を進めていくボランティアとして、2)技術協力プロジェクトにおいて先方政府関係者と協働作業をプロジェクトメンバーとして、3)有償資金協力事業の実施・運営管理者として、4)無償資金協力事業の実施・運営管理者として、5)ODA事業全般の実施・運営・管理者として、6)我が国のODA事業の評価分析担当者としてなど多種多様です。これらの業務の中でも、適材適所には、6)の業務に従事するメンバーが多く在籍していますが、国際協力への関わり方が多岐にわたっているように、評価分析業務もそのかかわり方・切り口は様々あるように思います。
以下では、これまでの業務を通じ、現地の政府実施機関の方々から、または、事業マネジメント担当者の方々からいただいた言葉とともに、評価・分析業務の種類と内容、そして過去の業務から得た学びをご紹介したいと思います。
案件形成時の「詳細計画策定調査」における評価・分析の業務について
詳細計画策定調査とは、主にODAの技術協力プロジェクトの開始に先立ち実施される事前の評価調査であり、調査期間中に先方政府実施機関との協議を通じ、事業計画(Project Design Matrix: PDM)の詳細について合意を取り付けることを主たる目的としています。評価案件の場合、一般的な調査期間は2~3週間。その中で、前半はコンサルタントの独走、後半は調査団チームでのチームプレイという形態がとられます。それは詳細計画策定調査でも例外ではありません。
詳細計画策定調査での評価コンサルタントの業務には、1)対象国及び対象分野の現状把握、課題の抽出と分析、課題解決方法の精査など、案件実施の妥当性の有無を中心とした調査の実施、2)調査結果を踏まえた上で、事業計画(PDM)のドラフト、先方政府機関(実施機関)関係者との事業の方向性、内容、規模等についての協議の補佐等が含まれますが、非常に限られた中での業務実施となるため、作業が深夜に及ぶことも少なくありません。これが、事業評価が短期決戦の非常にストイックな業務の一つと考えられる所以かもしれません。
一方で、詳細計画では、JICA本部、現地のJICA事務所、対象分野の専門家や有識者の方々、現地の実施機関関係者等多岐にわたる関係者と共にその国の対象分野の課題や対策、将来あるべき姿を共に考えていくプロセスや環境にある一定期間身を置くことになることから、対象分野の知識の深化や、関係者との関係構築が図れるだけでなく、評価者として視点や評価アプローチについても数多くの学びを得ることができる業務であることも事実です。実際に、以前アフリカのT国で実施した類似の調査では、案件形成のプロセスを通じ、社会的・文化的なコンテキストが日本のそれとは異なる国での案件形成アプローチや事業計画(PDM)の捉え方について多くの気づきを得ることができました。今回は、学びのきっかけとなった調査団関係者からの言葉を一つご紹介します。
日本側が提示する事業計画(PDM)の意図は、果たして実施機関側に十分に伝わっているのだろうか。我々はPDMにどのような役割を期待しているのか、できるのか。もしもそれ自体に限界があるとしたら、評価コンサルタントとして、事業計画をどのように説明(表現)していく必要があるのか。
調査期間中にこうした問いを投げかけられるのも稀かもしれませんが、とっさの問いに対して、即座に考え、答えを導き出し、必要な準備を進めていくこと、それも評価コンサルタントに求められる資質なのだと改めて気づかされた調査でした。国際協力の仕事や評価業務同様、この問いに対する回答も様々だと思いますが、この時導き出した答えをヒントに、弊社では、現在個人レベルで、そしてチームレベルで小さくとも着実に改革を進めているところです。