2017年6月8日と15日の2週(2コマ)にわたり、東海大学短期大学部で「理想の幼稚園を創ろう!ワークショップ」を実施しました。このワークショップは児童教育学科の「フレッシュマンセミナー」というキャリア教育の授業の一環として、適材適所が企画・運営したものです。昨年からスタートし、今年で2回目の開催となりました。
東海短大は、児童教育(保育園、幼稚園、小学校教諭)の就職では全国でも有数の学校で、何よりも素晴らしいのは、就職後の定着率(最近5年でも90%以上)です。幼稚園や保育園は比較的離職率の高い職場と言われていますが、東海短大では在学中の実習の段階から先生が学生の資質や個性を生かしながらフォローし、卒業後も先生方が手分けをして卒業生の就職先を訪問して、卒業生の状況や問題などの把握に努めてこられました。卒業生を含めた学園全体としての教育の体制を考えながら、在学生の社会人基礎力の向上のための取り組みが進められています。
今回のワークショップの企画は、学生の社会人基礎力のうち「(グループ内での)課題解決力」と「統率力」の弱点を補強したいとの相談が寄せられたため、学生がグループワークを通じて課題解決力と統率力を発揮(認識)できようなワークを先生方と一緒に検討するところから始めました。先生方が積極的に企画検討に対応して下さったことで、既存の企画をあてはめるのではなく、学生の弱点を補強できるような効果的なオーダーメイドのプログラムを作り、実施することができたと思います。児童教育学科の学生全員(約100名)がグループワークに取り組み、その結果を全員の前でプレゼンテーションをして、先生からのフィードバックを受けて、みんなで評価するプログラムです。
初日(90分)は、学生のみなさんが個人で考えてきてくれた「理想の幼稚園」をグループ内で共有・評価し、最も評価の高かったアイデアをベースとして「グループとしての理想の幼稚園」を考えてもらいました。模造紙、ポストイット、マジックを準備し、理想の幼稚園を創るため、「理想」の定義を考えるところから始め、幼稚園を作るにあたっての前提条件や制約条件など大学入学後に学んだことを思い出しながら、みんながみんなの意見を尊重し、リーダー役が意見をまとめて、グループとしての理想の幼稚園の下書き(模造紙)が出来上がりました。
次週のグループごとの発表に向けて、先生方に模造紙の清書のために授業の時間を割いていただき、各グループがプレゼンテーションのためのツールの準備を整えました。その時間をいただいたおかげで、2日目の90分では、なんと18グループのプレゼンテーションから、フィードバック(先生のよる評価)、投票(学生による評価)、表彰まで終えることができました。
理想の幼稚園のアイデアとして、最も多かったのは自然とのふれあいを大切にできる幼稚園、それ以外としては、強い子を創る幼稚園、良い子を創る幼稚園、健康な子を創る幼稚園、に集約された感じでした。現在の学校の周辺も十分に自然とのふれあいを確保できるような環境だとは思うのですが、もっとのびのびと、もっと良い空気を吸って、もっと自然に近いものを食べ、明るく元気な子供を育ててみたいという願望があるようです。それらに対して、「いいね~そんな学校!!でもお迎えはどうするのかな~!!」と言うように、先生方の優しくも厳しいコメントやフィードバックもあり、学生のみなさんたちは真剣に耳を傾けていました。
今回のワークショップを通じて、幼稚園を創る上での様々な課題についてグループとして向き合い、理想の幼稚園のアイデア検討、プレゼンテーションツール(模造紙)の作成、そして実際のプレゼンテーションを通じて、グループとしてまとめることや協力して成果を出すことの難しさと達成感を十分に感じてもらえたと思います。学生のみなさんからは、とても楽しかった、2年生になってからもやりたい、これからも理想を意識したい・・・等々多くのポジティブな声が聞かれました。グループワークを通じて、学生さんが最後まで粘り強くみんなで話をしながら進めていくことで結果を出すことの大切さを実感してくれたこと、そして、何よりも学生さん一人ひとりの心の中に、「理想の教育」が刻まれたことが大きな収穫となったことでしょう。