適材適所はODAのコンサルタント会社なので、基本的には2-3ヵ月間の契約ベースでコンサルタント業務にかかわることが多のですが、ごく稀に「長期専門家」として、プロジェクトの実施に携わることもあります。
今回は、マラウイの技術協力プロジェクトの長期専門家の業務をご紹介したいと思います。
2011年11月から、マラウイの「リロングウェ市無収水対策能力プロジェクト」に「キャパシティデベロップメント/ナレッジマネジメント/業務調整」というすごく長い名称の専門家業務に従事しています。プロジェクトはリロングウェ市の無収水削減に関するリロングウェ水公社(Lilongwe Water Board: LWB)の能力強化を目的としており、現場活動として、パイロットサイトにおいて物理的損失・商業的損失対策を技術的に支援すると同時に、無収水削減の計画策定能力の向上にも取り組んでいます。そして、もうひとつの重要な活動が「知見・経験の共有」であり、無収水対策に関する水公社の取り組みや知見を、LWBの組織内で共有、マラウイ国内で共有、アフリカ諸国や全世界と共有する活動を推進しています。
コンサルタント業務は、端的に言えば、調査・分析し、提言などをまとめて報告書を作成して終わりです。
一方、専門家業務は、カウンターパートと共に日々の業務に携わりながら、カウンターパートの能力強化を目指して、様々な活動を動かしていくことが多いです。
そして調整業務も多いです。これは業務調整員だから・・・というのではなく、組織の一員として業務に携わる以上、部署内、部署間、部長、CEO、他省庁・他水公社との情報共有、調整・協議が山ほどあります。そしてここLWBは非常にしっかりとした組織であり、組織間の調整・情報共有のプロトコールもしっかりしており、非常に厳しいです。着任当初は、物事の進め方がLWBのやり方と違うことがあり(つまり間違ったので)カウンターパートによく怒られました。
ここではこれまでのコンサルタント業務で培った力よりも、むしろ社会人として新卒から3年目まで働いていた民間企業での経験の方が役立っている気がします。
コンサルタント業務は、特に弊社の場合は、比較的ひとりで業務遂行することが多いため、それほど部署間や組織間の調整業務は発生しないのですが、LWBでの仕事は組織の一員として考えて動く必要があるので、勝手がかなり違います。
そして、LWBはちょーっと普通のカウンターパートとは違います。組織が結構しっかりしていることもあり、みんな真剣に、かつ全力で働いています。ある意味、日本人より勤勉で長時間働いています。資料や報告書を作成する場合でも、必ず、Findings、Analysis、Recommendations、Way Forwardを説明しないといけません。抜けていると必ず聞かれます。ああ、恐ろしい。といっても普通ですけどね・・・。
そして、もう一つ恐ろしいのが、ここの企業文化!とにかく、仕事を増やすのが大好き。私はこれを「LWB病」と呼んでいますが、「面倒くさいから?難しそうだから?やらない」という選択肢はない!のです。他の国で、「○○やってみようよ」というと、「ええ・・・っ」という消極的なオーラが見えるのですが、ここは「それ、いいね!やってみよう、いやむしろこの方がよくないか?」といってアイディアがわんさか出てきて、あれよあれよという間にやるという方向で合意されたことになっています。何かを提案して、ネガティブな反応をされたことがない。こんなカウンターパートですが、一番恐ろしいのはCEO! 絶対にうやむやにはしない。指示したことはどんな些細なことも覚えていて、「あれ、どうなった?」と必ずフォローアップの矢が飛んでくる。「CEOこえ~!!!」というのが、専門家の共通認識・・・。何人たりとも逃げ切ることは許されませぬ・・・。
飽きっぽい私が(だから2-3ヵ月の契約で、業務内容がコロコロ変わるコンサルタント向き♪)、ここLWBに1年近く居座っていることは、ほぼほぼキセキに近いかも・・・。毎日ほぼ同じ時間に起きて、同じ時間・場所にいって、同じ席に座って・・・というのが苦痛で仕方ないのに、1年もここにいます。それだけ毎日、刺激的なカウンターパートにもまれて、LWB病に浸食されながら、毎日山のような仕事量をこなさざるを得ないこの日常が、私は案外気に入っているのかも・・・。とにかく、日々、色々な事件が勃発、火消しに奔走・・・で、飽きません。事件・・・の話は、また別の機会に。